むかし、むかしあるところに牛頭天王という人がいました。
もうそろそろお嫁さんがほしいなぁと思っていると鳩がやってきて「竜宮城へ行きなさい」と教えてくれました。
そこで、牛頭天王は竜宮城への旅に出かけました。
途中、泊めてもらうところを探しているとこの辺りで一番のお金持ちの巨旦
の家がありました。
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牛頭天王が「一晩泊めてください」と言うと、巨旦は意地悪く「うちは貧しいから泊められないよ」と嘘をついて断りました。
牛頭天王は困りました。しかたなく歩いて行くと蘇民将来の家に着きました。「泊めてください」と言うと貧しいながらも心優しい蘇民は「どうぞ、汚れていますが」と言って家の中に招き牛頭天王に粟のご飯をたいておもてなしをしました。
次の日、出発する前に牛頭天王は泊めてもらったお礼に宝物の珠を蘇民にわたしました。この珠
は、心の優しい人が持つとお金がたまるものでした。
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その後、牛頭天王は竜宮城に着いてお嫁さんをもらい、8人の王子のお父さんになりました。8年ぐらいたったある日、自分の生まれた国に帰ることにしました。途中、また蘇民の家に泊まりました。心優しい蘇民は長者さんになっていました。それをうらやましく思った巨旦も牛頭天王を家に泊めようとしましたが、意地悪は変わらなかったので、逆に次々と悪いことばかりおこりました。
一方、蘇民はいつまでも幸せにすごしました。
牛頭天王という人は、悪いことを追い払う神様だったのです。代々蘇民の家の人たちは、このとき牛頭天王が言われたように「蘇民将来」と書いた木を身に着けていました。それがお守りとなったので幸せに暮らしたという言い伝えが残っています。
この木のお守りが今現在は注連縄にとりつけられ家の玄関口で悪いことを追い払ってくれているのです。 |